コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動に関する Q&A


 
質問1 コミュニティ・スクールには、法に基づくものと熊本県が独自に提唱しているものがあるが、その違いはどんなところですか?

回答
1 根拠
○法に基づくコミュニティ・スクール(以後、国版と表す)
 地教行法47条の6の規定により学校運営協議会を設置した学校をいう。
 学校運営協議会は、保護者や地域住民の意見を学校運営に反映し、地域とともにある学校づくりを実現するための仕組みであり、平成16年度に地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正によって制度化されました。
 児童生徒の状況に応じたきめ細かい学習支援、生徒指導上の課題への対応、学校安全の確保など、学校を取り巻く課題はますます複雑化・困難化しており、子供たちの「生きる力」を育むためには、教職員のみならず、地域住民や保護者等の適切な支援を得ながら、学校運営の改善を図っていく必要があるからです。
 このため、学校と地域の組織的・継続的な連携を可能とする協議会について、更なる活動の充実と設置の促進を図る必要があるとの認識の下、必要な制度の見直しを行い、平成29年4月1日から改正地教行法が施行されました。
 主たる改正点:当該学校の運営及び当該運営への必要な支援に関して協議する
          学校運営協議会を置くように努めなければならない
          二以上の学校について一の学校運営協議会を置くことができる
          委員に社会教育法で規定する地域学校協働活動推進員もしくはこれに相当する活動をしている人を加える

○熊本県が提唱しているコミュニティ・スクール(以後、熊本版と表す)

平成25年3月熊本県教育委員会作成パンフレットより


  学校と地域の方々が、学校の教育目標や課題について共有し、それぞれの立場で主体的に子どもの教育に関わっていくというねらいは同じです。ただし、コミュニティ・スクールは法律に則り市町村教育委員会が学校運営協議会を設置するのに対して、熊本版コミュニティ・スクールは学校が主体的に、協議会を設置するものです。熊本版コミュニティ・スクールでは、コミュニティ・スクールに関して法律に定められている要件や権限を緩和し、すべての学校で開かれた学校づくりの仕組みを整えることができます。

 コミュニティ・スクール(国版)に指定されていない学校が主体的に、保護者と地域の方々が参加する協議会を設置し、各学校の教育課題等を共有し、その解決や改善に向けて、共に話し合い、協力し、一体となって組織的かつ継続的に教育に当たる仕組みのことです。
 コミュニティ・スクールは、法令により、市町村教育委員会が学校を指定します。また、それにより指定された学校に設置された学校運営協議会には、さまざまな権限が与えられています。
 熊本版コミュニティ・スクールは、その権限と要件を緩和し、すべての学校が保護者と地域住民が参加する協議会を設置できるようにしたものです。このようにして設置される協議会の運用については、各学校が独自に定めることができます。
 協議会では、保護者や地域の方々と課題や情報を共有し、みんなでよりよい考えを出し合い、共に教育に当たっていくことが大切です。そして、共有した課題等の改善に向けて、学校・家庭・地域が、それぞれの立場で何ができるのかを協議し、協働していくことが必要です。

2 国版コミュニティ・スクールと熊本版コミュニティ・スクールの違い概要一覧

   国版コミュニティ・スク-ル  熊本版コミュニティ・スク-ル
 規則や要項等  
市町村教育委員会が規則で定める
    ※地教行法47条の6 1項

 各学校が実態により要項等を作成
 (校長が作成)
協議会等 
学校運営協議会
 市町村教育委員会が設置
    ※地教行法47条の6 1項

 学校運営協議会が設置されている学校をコミュニティ・スク-ルという

 仮称:学校地域づくり協議会等
 (各学校が実態により設置)
 委 員  
市町村教育委員会が任命
 対象学校の所在する地域住民
 対象学校に在籍する児童生徒の保護者
 社会教育法に規定する地域学校協働活動推進員等
 教育委員会が必要と認める者
    ※地教行法47条の6 2項

 各学校が依頼
 (保護者及び地域住民等)
 権限や役割等
① 校長の運営方針の承認
    ※地教行法47条の6 4項
②保護者や住民への情報提供
    ※※地教行法47条の6 5項
③ 学校運営に関する意見
    ※地教行法47条の6 6項
④ 教職員の任用に関する意見
    ※地教行法47条の6 7項

① 学校運営方針の周知と共有


② 学校の課題や情報等の共有


③ 課題解決に向けた協議


質問2 現在、各学校に学校評議員を委嘱してありますが、学校評議員を学校運営協議会委員へ移行できますか?

回答
1 学校評議員と学校運営協議会との違い
○学校評議員
 学校評議員は、学校教育法施行規則に基づき、校長の求めに応じて、個人としての立場で、学校運営に関する意見を述べるものであり、校長や教育委員会の学校運営に関して直接関与したり、拘束力のある決定を行ったりするものではありません。
 学校評議員会議制度をとっている学校は運用上のものです。
○学校運営協議会は、合議制の機関であって、法律に基づき、学校運営、教職員人事について関与する一定の権限が付与されており、校長は、学校運営協議会が承認する基本的な方針に従って学校運営を実施することとなります。

※文部科学省は、学校評議員制度を学校運営協議会へ移行することについて積極的に検討していくことを提唱しています。

学校評議員制度と学校運営協議会制度の違い

                    

   学校評議員制度  学校運営協議会
 目  的
  開かれた学校づくりを一層推進していくため、保護者や地域住民等の意向を反映し、その協力を得るとともに、学校としての説明責任を果たす。

 学校運営及び運営に必要な支援について協議するとともに、地域との連携協働態勢を構築し、地域とともにある学校づくりを目指す。
 設  置
  任意設置

  任意設置(教育委員会には設置努力義務あり)
 位置付け
  校長が、必要に応じて学校運営に関する保護者や地域の方々の意見を聞くための制度。個人として意見を求めるものであるが、実際の運営上は学校評議員が一堂に会して意見を交換し合う機会を設ける例がみられる。

  教育委員会により設置され、学校の運営について、一定範囲で法的な効果を持つ意思決定を行う合議制の機関である。
 法令上の根拠  ・「学校教育法施行規則」 第49条
 ・平成12年4月1日施行
 ・学校評議員は設置者の判断により、学校に置くことができる。

・「地教行法」 第47条の6
・平成16年9月9日施行(29年3月改正)
・教育委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、その所管に属する学校ごとに、当該学校の運営及び当該運営への必要な支援に関して協議する機関として、学校運営協議会を置くように努めなければならない。

 委  員  当該学校の職員以外の者で、教育に関する理解及び識見を有する者  
 地域の住民、保護者、地域学校協働活動推進員、その他教育委員会が必要と認める者

 任  命  
校長が推薦し、設置者が委嘱

 教育委員会が任命(委員の身分は、非常勤特別職の地方公務員)
 主な内容権利等 ・学校評議員は、校長の求めに応じて、学校運営に関する意見を述べる。
・学校評議員に意見を求める事項は、校長が判断する。

以下の具体的な権限を有する。
 1 学校の運営に関する基本的な方針について承認する。
 2 学校の運営に関して教育委員会又は校長に対し、意見を述べることができる。
 3 教職員の採用等に関して任命権者に意見を述べることができ、任命権者はこれ  を尊重する。
 4 運営協議会の協議内容を地域住民・保護者へ積極的に情報提供する。


質問3 地域学校協働活動運営委員会の構成組織員はどのような人材でしょうか?

回答
○地域学校協働活動の推進に向けたガイドラインの「市町村における推進施策(p15)」には、次のように記されています。


  市町村の教育委員会においては、域内の地域学校協働活動の運営方針等を検討し、事業計画の策定、安全管理方策、広報活動方策、地域ボランティア等の地域の協力者の人材確保等の検討、活動プログラムの企画、事業の検証・評価等を行うための運営委員会を設置するなど、幅広い関係者の意見等を踏まえて推進していくことが期待されます。運営委員会の構成員としては、例えば、行政関係者(教育委員会、福祉部局やまちづくり担当部局)、学校関係者、PTA関係者、社会教育関係者、学識経験者等が考えられますが、それぞれの市町村の特色や実情を踏まえて、幅広い方々に参画いただくことが期待されます。

○熊本県作成 市町村地域学校協働本部設置要綱(例)


第1条 地域学校協働活動の運営方法等を検討するための組織として、○○市(町村)地域学校協働本部運営委員会(以下「運営委員会」という。)を設置する。

第2条 運営委員会は、次に掲げる事項を所掌する。
(1)地域学校協働活動の運営方法等の検討
(2)事業計画の策定、安全管理方策、広報活動方策、ボランティア等の地域の協力者の人材確   保方策等の検討、活動プログラムの企画、事業の検証・評価等
(3)前号に掲げるもののほか、事業の運営に関し必要な事項に関すること

第3条 運営委員会は、委員○○人以内をもって組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから教育委員会が選定する。
(1)行政関係者(教育委員会、福祉部局及びまちづくり担当部局等)、学校関係者、PTA関   係者、社会教育関係者、学識経験者、地域住民代表等
(2)前号に掲げる者のほか、教育委員会が実情に応じて必要と認める者

○委員は、行政関係者(教育委員会、福祉部局及びまちづくり担当部局等)、学校関係者、PTA関係者、社会教育関係者、学識経験者、地域住民代表等で組織し、多様で継続的な事業計画の策定、安全管理方策、広報活動方策、地域ボランティア等の地域の協力者の人材確保等の検討、活動プログラムの企画、事業の検証・評価等を行う組織とすることが大切です。

質問4 地域学校協働本部とは教育委員会部局(社会教育主管課)になるのでしょうか?

回答

○社会教育法

 
第五条 市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は、社会教育に関し、当該地方の必要に応じ、予算の範囲内において、次の事務を行う。
一~十二(略)
十三 主として学齢児童及び学齢生徒(それぞれ学校教育法第十八条に規定する学齢児童及び学齢生徒をいう。)に対し、学校の授業の終了後又は休業日において学校、社会教育施設その他適切な施設を利用して行う学習その他の活動の機会を提供する事業の実施並びにその奨励に関すること。
十四 青少年に対しボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の機会を提供する事業の実施及びその奨励に関すること。
十五 社会教育における学習の機会を利用して行つた学習の成果を活用して学校、社会教育施設その他地域において行う教育活動その他の活動の機会を提供する事業の実施及びその奨励に関すること。
十六~十九(略)
2 市町村の教育委員会は、前項第十三号から第十五号までに規定する活動であつて地域住民その他の関係者(以下この項及び第九条の七第二項において「地域住民等」という。)が学校と協働して行うもの(以下「地域学校協働活動」という。)の機会を提供する事業を実施するに当たつては、地域住民等の積極的な参加を得て当該地域学校協働活動が学校との適切な連携の下に円滑かつ効果的に実施されるよう、地域住民等と学校との連携協力体制の整備、地域学校協働活動に関する普及啓発その他の必要な措置を講ずるものとする。 
第六条 都道府県の教育委員会は、社会教育に関し、当該地方の必要に応じ、予算の範囲内において、前条第一項各号の事務(同項第三号の事務を除く。)を行うほか、次の事務を行う。
一~五(略)
2 前条第二項の規定は、都道府県の教育委員会が地域学校協働活動の機会を提供する事業を実施する場合に準用する。 
第九条の七 教育委員会は、地域学校協働活動の円滑かつ効果的な実施を図るため、社会的信望があり、かつ、地域学校協働活動の推進に熱意と識見を有する者のうちから、地域学校協働活動推進員を委嘱することができる。 
2 地域学校協働活動推進員は、地域学校協働活動に関する事項につき、教育委員会の施策に協力して、地域住民等と学校との間の情報の共有を図るとともに、地域学校協働活動を行う地域住民等に対する助言その他の援助を行う。

○社会教育法5条2項の規定によって、地域学校協働本部主管は、教育委員会であり、主管課は社会教育課です。

質問5 地域学校協働活動推進員は学校区ごとに配置した方がよいでしょうか?
      また、その人材は?(元教職員、学校区を熟知している方など)

回答
○地域学校協働活動の推進に向けたガイドライン「地域学校協働活動推進員の確保・資質(p28)」の項には、次のように記されています。


地域学校協働活動推進員の役割、望まれる資質・能力
○ 地域学校協働活動の推進においては、地域住民等や学校関係者との連絡調整、地域学校協働活動の企画・調整等を担うコーディネーターの役割が非常に重要です。
○ 地域学校協働活動推進員は、社会教育法第9条の7 において、教育委員会の施策に協力して、地域と学校との情報共有や地域住民等への助言などを行うものとされています。中教審答申においても、これまでの地域住民と学校との連絡調整を行う「地域コーディネーター」や、地域コーディネーター間の連絡調整等を行う「統括コーディネーター」の配置促進や機能強化について提言されています。既にこうしたコーディネーターが活動されている場合は、社会教育法改正の趣旨を踏まえ、円滑かつ効果的に地域学校協働活動が推進されるよう、できるだけ速やかに推進員制度の活用について検討していただくことが望まれます。
○「地域学校協働活動推進員」は、各地域学校協働本部における地域学校協働活動の企画・連絡調整役として、主に以下のような役割が期待されます。
・ 地域や学校の実情に応じた地域学校協働活動の企画・立案
・ 学校や地域住民、企業・団体・機関等の関係者との連絡・調整
・ 地域ボランティアの募集・確保
・ 地域学校協働本部の事務処理・経費処理
・ 地域住民への情報提供・助言・活動促進 等
○ 地域住民等を良く知り、学校関係者とも円滑にコミュニケーションがとれる地域学校協働活動推進員が地域と学校との間を調整することで、地域と学校がパートナーとして協働することができます。推進員は地域と学校の橋渡し役として、学校側の事情や地域の要望を十分に理解し、地域学校協働活動が学校運営の改善に結びつくよう、双方に働きかけることが大切です。
○ 地域学校協働活動推進員に望まれる資質・能力としては、主に以下のようなものが考えられますが、教育委員会は、地域や学校の特色や実情に応じて、推進員に求められる資質・能力を明確にして、適切な人材を確保していくことが重要です。
・ 地域学校協働活動の推進に熱意と識見を有する
・ 地域学校協働活動への深い関心と理解がある
・ 地域の住民、団体、機関等の関係者を良く理解している
・ 学校の実情や教育方針への理解がある
・ 地域住民や学校、行政関係者等と協力して活動を円滑に進めることができるコミュニケーション能力があり、関係者を説得し、人を動かす力がある
・ 地域課題についての問題提起、整理、解決先の構築等を仲間と共に進めることができるファシリテート能力にたけている 等
○ 地域学校協働活動推進員の確保・質の向上は、中長期的な視点に立って継続的に進めることが重要であり、教育委員会は、その域内において推進員の発掘・育成・機能強化を計画的に進めることが必要です。特に、教育委員会は特定の個人に依存し過ぎないように工夫したり、推進員の交代があっても担当していた活動が継続するよう、資質・能力等が備わった人材が推進員を引き継ぐといった持続可能な仕組みを構築していくことが重要です。
② 地域学校協働活動推進員の候補、発掘
○ 教育委員会は、①のように、地域学校協働活動推進員に期待する役割や求められる資質・能力を明確にした上で、対象となる学校の校長等に推薦してもらうことなどにより、地域の適切な人材を探していくことが重要です。推進員の候補となる人材としては、例えば、以下のような方々が考えられます。
・ これまでのコーディネーターやその経験者
・ 地域と学校の連携・協働に関わる活動に地域ボランティアとして活動している人
・ PTA 関係者、PTA 活動の経験者
・ 退職した校長や教職員
・ 自治会、青年会等の地域関係団体の関係者
・ 地域や学校の特色や実情を理解する企業、NPO、団体等の関係者 等
○ 教育委員会は、地域学校協働活動推進員の発掘のため、社会教育主事などの担当職員等を実際に地域や学校に訪問させたり、学校長、近隣地域の推進員、地域の自治会等の関係者から情報を得ることなどにより、学校や地域の活動に熱心に取り組んでいる人物等を把握していくことが重要です。それぞれの地域や学校の特色・実情に即して、適切な人材を推進員として確保するためには、教育委員会は必要に応じて、候補となる人材の推薦を校長に依頼したり、候補者の面談を実施するといった工夫も考えられます。

○地域学校協働活動推進員の名称について
 地域住民等や学校関係者との連絡調整、地域学校協働活動の企画・調整等を担うコーディネーターの役割を担当する者。
○配置について
 ・理想は、一校一人が望ましいと思います。地域と学校をつなぐことが濃密にできるからです。
 ・学校独自の活動がしやすいこと、校区の人材を活用しやすいこと、機動的で参画できやすいこと、  日程調整等臨機応変な活動がしやすいこと、地域作りにつながりやすいこと等から。 
 ・一人で複数校を担当している人もいます。
○推進員の候補となる人材
・ これまでのコーディネーターやその経験者
・ 地域と学校の連携・協働に関わる活動に地域ボランティアとして活動している人
・ PTA 関係者、PTA 活動の経験者
・ 退職した校長や教職員
・ 自治会、青年会等の地域関係団体の関係者
・ 地域や学校の特色や実情を理解する企業、NPO、団体等の関係者 等
※推進員の仕事を遂行しながら推進員としての力量を身につけてもらうことだと思います。

質問6 現在各学校で地域学校協働活動が行われていますが、新たな活動に取り組む必要がありますか?

回答
○地域学校協働活動の推進に向けたガイドライン「地域学校協働活動について(p6)」の項には、次のように記されています。


地域学校協働活動とは
○ 「地域学校協働活動」とは、地域の高齢者、成人、学生、保護者、PTA、NPO、民間企業、団体・機関等の幅広い地域住民等の参画を得て、地域全体で子供たちの学びや成長を支えるとともに、「学校を核とした地域づくり」を目指して、地域と学校が相互にパートナーとして連携・協働して行う様々な活動です。
○ 「学校支援地域本部」などの従来の地域の学校支援の取組との違いは、地域による学校の「支援」から、地域と学校のパートナーシップに基づく双方向の「連携・協働」へと発展させていくことを目指していることです。地域が学校・子供たちを応援・支援するという一方向の関係だけではなく、子供の成長を軸として、地域と学校がパートナーとして連携・協働し、互いに膝を突き合わせて、意見を出し合い、学び合う中で、地域の将来を担う人材の育成を図るとともに、地域住民のつながりを深めることにより、自立した地域社会の基盤の構築・活性化を図る「学校を核とした地域づくり」を推進し、地域の創生につながっていくことが期待されます。
② 地域学校協働活動のメリット・実施による効果
<子供たちへの期待される効果>
○ 地域学校協働活動を通じて、子供たちが自分たちの活動によって何かを変えたり、社会をよりよくしたりできるという実感を持つことは、子供たちにとって自分が身近な地域や社会生活に影響を与えるという認識につながり、これを積み重ねていくことにより、主体的に学びに向かい、学んだことを人生や社会づくりに生かしていこうという意識や積極性につながっていくとともに、今後、「社会に開かれた教育課程」の実現に資するものです。
○ 地域学校協働活動は、子供たちに社会や職業との関連を意識させるキャリア教育の観点からも意義があります。地域学校協働活動を推進することにより、変化する地域や社会の動きを理解し、地域に根差した学習や体験活動を通じて、子供たちがこれからの人生を前向きに考えていけるようにすることや、発達の段階に応じた多様な学びの中で、地域や社会と関わり、様々な職業の大人に出会い、社会的・職業的自立に向けた学びを積み重ねていくことができるという効果も期待されます。
○ 地域学校協働活動を通じて子供たちが信頼できる大人と多くの関わりを持ち、愛情を注がれることにより、自己肯定感や他人を思いやる心など、豊かな心が育まれることが期待できます。また、地域の人々に支えられ学んでいくことで、地域への愛着や地域の担い手としての自覚が育まれ、学びへの意識の向上が学力の向上に資することも期待されます。地域学校協働活動の基盤となる学校支援地域本部事業に参加している学校では、子供たちのコミュニケーション能力や地域への理解・関心が高まる傾向があり、地域と学校の良好な関係が保たれている学校では、子供の学力が高い傾向があるという調査結果も出ています。地域全体で未来を担う子供たちの成長を<学校・教職員への期待される効果>
○ 「社会に開かれた教育課程」の実現には、社会と接点を持ちつつ、多様な人々と学校がつながりを保ちながら学ぶことのできる開かれた環境となることが重要であり、その実現のためにも、幅広い地域住民等の参画による地域学校協働活動を推進していくことが期待されています。各学校が「カリキュラム・マネジメント」に取り組んでいくにあたっては、地域と学校が子供の成長に向けた目標を共有しながら、それぞれの地域や学校の特色を活かして地域学校協働活動を推進していくことが非常に有効となります。
○ また、教員自身が地域の人々とのかかわりの中で得られる多様な活動・経験を通じ、地域や社会の変化を理解することで、地域の一員としての自覚や責任感を認識するとともに、教育者としての意欲が高まり、豊かな指導力の発揮にもつながる効果も期待できます。
○ さらに、地域学校協働活動を進めることで、社会総掛かりでの教育の実現に向けて、教育や子供たちの成長に対する責任や役割を家庭や地域と分かち合うことにつながることも期待できます。地域学校協働活動の推進を通じて、教育の質の向上にもつながるという調査結果も出ています。警察・
<地域への期待される効果>
○ 地域学校協働活動は、活動に参画する地域住民の生きがいづくりや自己実現にも資するものであり、ひいては地域の教育力の向上や地域の活性化につながることも期待されます。
○ また、地域と学校の連携・協働体制が構築されていることは、災害等の非常時においても力を発揮することが示された事例もあります。地域と学校の連携・協働が進み、地域と学校が顔の見える関係を築いていくことは、災害時における避難所運営にも非常に有効です。平常時から地域と学校の連携・協働体制を構築していくことにより、そうした非常時の円滑な体制づくりにつながっていくことが期待できます。

○また、小学校学習指導要領総則解説 「カリキュラムマネジメントの充実(p41)」の項には、次のように記されています。


  カリキュラム・マネジメントを効果的に進めるためには、何を目標として教育活動の質の向上を図っていくのかを明確にすることが重要である。第1章総則第2の1に示すとおり、教育課程の編成の基本となる学校の経営方針や教育目標を明確にし、家庭や地域とも共有していくことが求められる。
(ア) 教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと
  教育課程の編成に当たっては、教育課程に関する法令や各学校の教育目標が定める教育の目的や目標の実現を目指して、指導のねらいを明確にし、教育の内容を選択して組織し、それに必要な授業時数を配当していくことが必要となる。各学校においては、教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を選択し、各教科等の内容相互の関連を図りながら指導計画を作成したり、児童の生活時間と教育の内容との効果的な組み合わせを考えたりしながら、年間や学期、月、週ごとの授業時数を適切に定めたりしていくことが求められる。
 その際、今回の改訂では、「生きる力」の育成という教育の目標が教育課程の編成により具体化され、よりよい社会と幸福な人生を切り拓くために必要な資質・能力が児童一人一人に育まれるようにすることを目指しており、「何を学ぶか」という教育の内容を選択して組織していくことと同時に、その内容を学ぶことで児童が「何ができるようになるか」という、育成を目指す資質・能力を指導のねらいとして明確に設定していくことが求められていることに留意が必要である。教育課程の編成に当たっては、第1章総則第2の2に示す教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成を教育課程の中で適切に位置付けていくことや、各学校において具体的な目標及び内容を定めることとなる総合的な学習の時間において教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習が行われるようにすることなど、教科等間のつながりを意識して教育課程を編成することが重要である。(教科等横断的な視点で教育の内容を編成する例について付録6参照)
(イ) 教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと
 各学校においては、各種調査結果やデータ等を活用して、児童や学校、地域の実態を定期的に把握し、そうした結果等から教育の目的や目標の実現状況や教育課程の実施状況を確認し分析して課題となる事項を見いだし、改善方針を立案して実施していくことが求められる。こうした改善については、校内の取組を通して比較的直ちに修正できるものもあれば、教育委員会の指導助言を得ながら長期的に改善を図っていくことが必要となるものもあるため、必要な体制や日程を具体化し組織的かつ計画的に取り組んでいくことが重要である。
 こうした教育課程の評価や改善は、第1章総則第5の1アに示すとおり、学校評価と関連付けながら実施することが必要である。
(ウ) 教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくこと
 教育課程の実施に当たっては、人材や予算、時間、情報といった人的又は物的な資源を、教育の内容と効果的に組み合わせていくことが重要となる。学校規模、教職員の状況、施設設備の状況などの人的又は物的な体制の実態は、学校によって異なっており、教育活動の質の向上を組織的かつ計画的に図っていくためには、これらの人的又は物的な体制の実態を十分考慮することが必要である。そのためには、特に、教師の指導力、教材・教具の整備状況、地域の教育資源や学習環境(近隣の学校、社会教育施設、児童の学習に協力することのできる人材等)などについて具体的に把握して、教育課程の編成に生かすことが必要である。
 本項では、こうした人的又は物的な体制を確保することのみならず、その改善を図っていくことの重要性が示されている。各学校には、校長、副校長や教頭のほかに教務主任をはじめとして各主任等が置かれ、それらの担当者を中心として全教職員がそれぞれ校務を分担して処理している。各学校の教育課程は、これらの学校の運営組織を生かし、各教職員がそれぞれの分担に応じて教育課程に関する研究を重ね、創意工夫を加えて編成や改善を図っていくことが重要である。また、学校は地域社会における重要な役割を担い地域とともに発展していく存在であり、学校運営協議会制度や地域学校協働活動等の推進により、学校と地域の連携及び協働の取組を更に広げ、教育課程を介して学校と地域がつながることにより、地域でどのような子供を育てるのかといった目標を共有し、地域とともにある学校づくりが一層効果的に進められていくことが期待される。
 以下、それぞれの項目の趣旨を踏まえて学校において実際に教育課程の編成や改善に取り組む際の手順の一例を参考として示す。もっとも、編成した教育課程に基づき実施される日々の教育活動はもとより、教育課程の編成や改善の手順は必ずしも一律であるべきではなく、それぞれの学校が学習指導要領等の関連の規定を踏まえつつ、その実態に即して、創意工夫を重ねながら具体的な手順を考えるべきものである。この点に十分留意することが求められる。


○新たな地域学校協働活動に取り組む必要があるかではく、これまでの地域学校協働活動を次のような視点から見直し、新たな地域学校協働活動を構築することだと思います。
○見直しの視点
視点1 地域の創生
・幅広い地域住民等の参画を得て、地域全体で子供たちの学びや成長を支えるとともに、「学校を核とした地域づくり」を目指す活動
・地域による学校の「支援」から、地域と学校がパートナーとして双方向の連携・協働して行う活動
・子供の成長を軸として、地域と学校が互いに意見を出し合い、学び合う中で、地域の将来を担う人材の育成を図る活動
視点2 社会に開かれた教育課程の実現

 
学習指導要領前文
 教育課程を通して、これからの時代に求められる教育を実施していくためには、よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し、それぞれの学校において、必要な学習内容をどのように学び、どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら、社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという、社会に開かれた教育課程の実現が重要となる。

・ 教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと
・教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくこと
・単発的で行事的活動から、連続性(ストーリー)のある活動へ


質問7 学校運営協議会は、年間どれくらいの開催が見込まれますか?



回答


地教行法第四十七条の六 

1 教育委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、その所管に属する学校ごとに、当該学校の運営及び当該運営への必要な支援に関して協議する機関として、学校運営協議会を置くように努めなければならない。ただし、二以上の学校の運営に関し相互に密接な連携を図る必要がある場合として文部科学省令で定める場合には、二以上の学校について一の学校運営協議会を置くことができる。

○学校運営協議会は、当該学校の運営及び当該運営への必要な支援に関して協議する機関として設置するものです。
・学校の運営に関する会議として、
 年度初めに校長が作成する学校運営に関する基本方針の承認
 学校運営や教職員の任用に関する意見具申
年度末に行う学校運営に関する評価
・運営に必要な支援に関する会議として
 児童・生徒の安全確保に関する熟議
 児童生徒の学習支援に関する熟議
 学校環境保全に関する熟議
 ふるさと講話・職業講話・職場体験・福祉体験等に関する熟議
 学校行事等に関する熟議
 現代的課題(スマートフォンの取扱い・防災・環境保全・人権・福祉 他)に関する熟議
・学校運営協議会委員研修
○年間2回から7回程度開催されているようです。


質問8 運営委員会と地域学校協働活動推進員との兼任はできますか?


回答


地教行法第四十七条の六
2 学校運営協議会の委員は、次に掲げる者について、教育委員会が任命する。
一 対象学校(当該学校運営協議会が、その運営及び当該運営への必要な支援に関して協議する学校をいう。以下この条において同じ。) の所在する地域の住民
二 対象学校に在籍する生徒、児童又は幼児の保護者
三 社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第九条の七第一項に規定する地域学校協働活動推進員その他の対象学校の運営に資する活動を行う者
四 その他当該教育委員会が必要と認める者


○学校運営協議会委員と地域学校協働活動推進員との兼任ではなく、推進員は学校運営協議会の構成員の一人となっています。
 それは、学校運営協議会は学校運営への必要な支援に関しても協議を行います。この協議が実効的・効果的に行われ、かつ、その結果を踏まえた学校運営への支援活動が円滑に実施されるためには、実際に当該学校の運営改善に関する活動を行っている者が協議に加わることが必要だからです。
このような観点から、協議会の委員に「学校の運営に資する活動を行う者」が加えられました。
 その典型的な例が、社会教育法に規定された「地域学校協働活動推進員」です。


質問9 学校運営協議会の設置に向けた準備などは、まず何から始めたらよいでしょうか?

回答
○学校運営協議会の設置に向けた準備には、以下のようなことが考えられます。
1 学校運営協議会設置に関する教育委員会規則の検討(設置済み挙育委員会規則を参照)
  (議会承認が必要であることから首長部局との協議)
  目的(地教行法の規定により設置することを明記) 
  趣旨 
  学校運営に関する基本的な方針の承認 
学校運営等に関する意見の申出
委員の任命
守秘義務
他 
 ・学校運営協議会設置は、学校毎とするか複数校とするかの検討

2 学校運営協議会設置に向けた説明会及び研修会の実施
 ・町長 首長部局 議会に対して(総合教育会議で町の重要施策の一つとして共有)
 ・学校職員に対して
管理職:熟議・協働・マネジメントの機能を持つ組織づくり 校務分掌へのコミュニティ・スクール担当者の位置付け 委員候補の検討 熟議内容検討 
    社会に開かれた教育課程具現化のための体制づくり 
   職 員:コミュニティ・スクールについての理解 
       社会に開かれた教育課程の具現化に向けた地域学校協働活動との一体的推の在り方等
 ・住民・保護者等に対して(コミュニティ・スクールの理解を得る研修や広報等による啓発・コミュニティ・スクールへの協力依頼)
 ・関係機関 団体等に対して(コミュニティ・スクールの理解を得る研修や広報等による啓発・コミュニティ・スクールへの協力依頼)
  学校評議員・熊本版CS委員に対して
コミュニティ・スクールの理解を得る研修・協力依頼
守秘義務の徹底 権利と義務の周知(承認 意見具申等)

3 諸事務
 ・事務局の設置 関係課関係機関との連絡調整 予算案作成
 ・運営委員は、非常勤の特別職であることから報酬にかかる諸準備 予算措置
 ・委員任命準備:校長からの情報提供を受け、委員選定 委嘱状準備 等

4 学校運営協議会設置準備会開催
 ・学校管理職 コミュニティ・スクール担当者 学校運営協議会員候補者 行政職員(関係各課) 地域学校協働活動推進員 各種団体代表 教育委員 社会教育委員等で組織
 ・学校運営協議会・地域学校協働本部設置は、教育分野からの地域創生であることの周知 
 ・趣旨説明
   地域とともにある学校づくり
 ・権利と義務の周知:承認 意見具申等
 ・守秘義務の徹底:個人情報等の守秘

学校運営協議会設置に向けた教育委員会の取組例
行  程  設 置 に 向 け た 諸 準 備 及 び 対 象
   教育委員会  首長部局  学校関係者  住民・保護者・団体

学校運営協議会の設置に向けた準備
・教育委員会規則の準備
 (規則案あり)
 法に基づく権限・義務等の明記
 議会承認
・運営委員は、非常勤の特別職に該当
 報酬にかかる諸準備
 予算措置
・委員任命準備
 校長からの情報提供
 委員選定
 委嘱状等

説明会及び研修会の実施
 町長 議会 首長部局へ 学校職員へ
 住民・保護者等へ
 関係機関 団体等へ
 学校評議員へ
 熊本版コミュニティ・スクール委員へ

学校運営協議会設置準備会開催
・趣旨説明
地域とともにある学校づくり
・権利と義務の周知
 承認 意見具申等
・守秘義務の徹底
 個人情報等の守秘
   

 
 
 
学校運営協議会設置

コミュニティ・スクールスタート

 


 町長等への説明と理解
総合教育会議で町の主要事業としての位置付ける 
 
 
 

 
 
 
 
         
 






 法に基づくコミュニティ・スクールの理解を得る研修会の実施
 管理職対象
 一般職員対象

 校務分掌へのコミュニティ・スクール担当者の位置付け 
 
 学校運営協議会議会開催回数及び時期並びに協議題検討 
 
社会に開かれた教育課程の実現に向けて、コミュユニティ・スクールとと地域学校協働活動の一体的推進に向けての研修 
 
学校運営協議会と本部の一体的推進方策検討 

  
 
 




コミュニティ・スクールの理解を図る研修会の実施

コミュニティ・スクールへの協力要請

地域人材・地域素材
の情報提供要請

町広報誌等を使って
コミュニティ・スクールに関して理解を得る

※学校評議員及び熊本版コミュニティ・スクールの運営委員対象の研修会
・趣旨説明
 地域とともにある学校づくり
・権利と義務の周知
 承認 意見具申等
・守秘義務の徹底
 個人情報等の守秘